日本バングラデシュ協会に参加の皆様へ

    日本バングラデシュ協会 メールマガジン(第4号)

                          2014年11月07日
■目次
1)会長メッセージ 一般社団法人 日本バングラデシュ協会 堀口松城
2)詩と物語からみるバングラデシュ  理事:丹羽京子
3)随想(丹羽京子先生の講演要旨を読んでみて思ったこと) 理事:野呂元良
4)第三回 行事のお知らせ 【講演会開催】
5)事務連絡

■1)会長メッセージ 一般社団法人 日本バングラデシュ協会 堀口松城

日本バングラデシュ協会は、去る10月3日、第1回講演会を東京外国語大学ベンガ
ル語科の主任教員で、協会理事をお願いしている丹羽京子先生を講師にお迎え
して開催し、続いて10月7日にはアジア・大洋州大使会議出席のため帰国中の佐渡
島志郎駐バングラデシュ大使をお迎えし、第2回講演会を開催いたしました。

東京外国語大学にベンガル語科が設立されたのは、3年半ほど前ですが、日本を代
表する外国語大学にベンガル語科が設けられたことは、日本社会におけるベンガ
ル語、さらにベンガル語を母国語とするバングラデシュの人々に対する認識のさ
らなる高まりを示すものとして大変喜ばしいところです。
丹羽先生のお話のテーマは「詩と物語から見るバングラデシュというもので、
その内容は本メールマガジンに掲載したとおり、タゴールその他のバングラデ
シュの詩人の作品を通して見たベンガルの人々の思想、考え方についての大変興
味深いお話しであり、日本バングラデシュ間の相互理解と友好促進を目的とする
協会発足後の最初の講演会のテーマとして真にふさわしいものでした。
この講演会は会場の席を円形に並べ、丹羽先生を中心に出席者全員がそれぞれの
顔をみながら講演を聞く形となり、先生の約1時間のお話の後、約35名の出席者
全員がそれぞれいかにバングラデシュン関心を持つに至ったかなど簡単な自己紹
介をしたことなどから親密な雰囲気が生まれましたが、その後、先生がそれまで
に出席者から書面で出された質問に答えられ、大学のセミナーのような雰囲気の
中で予定の1時間半が瞬く間に過ぎてしまいました。本講演会の成功に対し、丹羽
先生、出席者の皆様に深く感謝する次第です。

4日後の第2回講演会では、佐渡島大使から「ハシナ首相訪日と安倍総理バング
ラデシュ訪問から見た日バ関係の現状と見通し」と題する講演をいただきました。

冒頭、佐渡島大使の経歴に関連して紹介のあった、同大使の尽力で昨年夏実現し
た「瀬戸内国際芸術祭2013―高松港・アート工房ベンガル島」について興味深い
お話がありましたが、その内容については末尾の注書をご覧ください。
1971年のバングラデシュ独立以来、日バ友好関係は官民関係者全員の努力により
他にあまり例を見ない良好な関係を築き上げてきましたが、本年5月のハシナ首相
訪日の際に採択された共同声明では、この関係をさらに「包括的パートナーシッ
プ」に引き上げることが合意され、わずか3か月後の安倍総理の訪バ時にはその具
体化のための力強い第一歩が踏み出されました。
佐渡島大使からは、ごく短い間に両国関係がこのような歴史的な発展を遂げるに
至った過程における様々な考えや、関係者の努力などについて臨場感あるお話が
ありました。
約1時間のお話の後、質疑応答で活発な議論があり、予定の時間をオーバーして講
演会が終了しましたが、その後も個別に大使に質問される方々が続き、こうして
40名が出席した第2回講演会も、最近の日本バングラデシュ関係の大きな高まりと、
そのために果たされた佐渡島大使はじめ関係の方々の熱気を映し出すかのように
盛会裡に開催することができました。大使はじめ、出席者、関係者の皆様に厚く
お礼申し上げる次第です。

日本バングラデシュ協会といたしましては、今後も様々な分野の専門家を講師に
お呼びしって講演会を開催し、大きく変わりつつあるバングラデシュ日本バン
グラデシュ関係について、会員の皆様が多角的な角度から理解を深めていただく
上の一助としたいと考えておりますので、できるだけ多くの皆様のご出席をお待
ちしております。

(注.同芸術祭の企画、実施、成果、評価などについて、2014年7月発行の「遡河」
第17号に、佐渡島大使ご自身の投稿が掲載されておりますので、ご関心の向きは、
tamikoapa@hotmail.com にご照会ください。)

■2)詩と物語からみるバングラデシュ  理事:丹羽京子

詩と物語からみるバングラデシュ
丹羽京子
そもそもことばと文学は切っても切れない関係にありますが、ベンガル語は公用
語として採用される以前のほぼ1000年にわたって文学用語として用いられてきま
したから、ベンガルでは文学が言語そのものの発展や文化の根幹を担ってきた
言うことができます。つまり、ベンガル文学を概観することは、ベンガル文化そ
のものを理解することにつながります。
 そのベンガル文学で最も知られているタゴール(ロビンドロナト・タクル、18
61-1941)は、ベンガルが東西に分かれる以前にベンガル文学を大成した人物で
す。ですからタゴールは、インド側あるいはバングラデシュどちらのベンガル
にとっても大伝統であり、東西ともベンガル文学は、このタゴールを父として発
展してきました。
タゴールの作風は一様ではなく、詩に限って見てもその年齢とキャリアによって
ダイナミックに変化していきました。ごく単純にその変化を見ると、メランコリ
ックな前期、神秘主義的な『ギタンジョリ』に代表される円熟期である中期、そ
してそれを解体し「現代」に挑んだ後期のように捉えられます。
タゴールの後期詩集のひとつである『境(Prantik)』(1938)は、タゴールが一
時人事不肖に陥った際の、夢やさまざまな感覚をあらわしたものです。そのなか
に第二次世界大戦を予感させる短い詩があるのですが、このようにタゴール晩年
の作品には世界や神に対する不信があらわれるようになっていきます。
タゴールもその不穏な未来を予測していたとはいえ、タゴール没後の歴史の展開、
つまり第二次世界大戦、ベンガル大飢饉、そして分離独立、とりわけこの「分離」
独立と、さらにはその後の東ベンガル、バングラデシュ独立へという展開は、は
るかにタゴールの想像を超えていました。そしてこの想像を越えた苦難の道を歩
む人々を支えていったのが、タゴール後の作家や詩人たちです。
分離独立後のベンガル文学は、西ベンガルのコルカタとバングラデシュのダッカ
という二つの求心点を持つようになります。この二つのベンガル文学はほぼ同一
の伝統の流れを汲み、現在でも様々な交流を持っていますが、二国になって以来、
その流れを異にしていることもまた事実です。
 今回のお話の中心であるバングラデシュの小説や詩は、西側からはしばしば「
政治的」であると言われますが、それはバングラデシュの現実を反映したもので
もあり、バングラデシュでは分離独立、ベンガル語国語化運動、そして独立戦争
が文学の上でも大きなテーマになっています。
例えば、バングラデシュを代表する詩人のシャムシュル・ラーマン(1929-2006)
には「独立よ、おまえは」と題する詩がありますが、これはまさに独立戦争のさ
なかに書かれ、解放軍兵士の手から手へと渡されて、インド側で発表されたとい
うそれ自体歴史の一コマのような詩です。しかしこの詩は同時に「ベンガルへの
永遠の愛を詠った」とも称される普遍性も備えています。そのほかにもさまざま
な詩人が、独立への希求、そして独立戦争の悲劇、あるいは独立後の失望などを
詩にあらわしましたが、それらの詩を通して、わたしたちはバングラデシュの人
々のなみなみならぬ決意や、想像を絶するような悲しみや、やり場のない気持ち
を感じることができます。
小説の世界にはこの世界史上もまれな激動の時代を描いたサーガがいくつも存在
しますが、今回は優れた短編小説をご紹介するにとどめたいと思います。
バングラデシュ小説は、ショイヨド・ワリウッラ(1922-1971)によって一気に
そのスタンダードが上がりますが、ここで取り上げたいのは、そのあとを継いだ
とも言われるアクタルッジャマン・イリアス(1943-1997)です。彼はワリウッ
ラと入れ替わるように頭角をあらわし、パキスタン時代から独立後までのバング
ラデシュのリアルな現実を見据えた作品を書き続けました。
イリアスは、ベンガル大飢饉のあった1943年に生まれ、4歳半で分離独立を経験し、
パキスタン軍事政権による抑圧的な時代に青年期を過ごしました。そして再び独
立戦争とその前後の混乱を目撃するわけですが、そうしたけっして明るいとは言
えない時代に作家として大成していきます。イリアスはどこまでも厳しいバング
ラデシュの現実を描きながら、「それでも生きる」という強い意志をもそこにあ
らわしていると言えます。そしてそのことによって、バングラデシュ現代史とい
う特殊な背景の物語でありながら、これもまた普遍性を獲得したものになってい
ます。
ひとりアクタルッジャマン・イリアスのみならず、バングラデシュの優れた作家
たちは、バングラデシュの苦難の歩みを描き、また未来への展望を示しました。
これらの作品を読むことで、わたしたちはバングラデシュの現実と人々の思いを
内側から理解することができると同時に、非ベンガル人の我々も生きるとはどう
いうことなのかについて思いを巡らすことができるでしょう。

■3)随想(丹羽京子先生の講演要旨を読んでみて思ったこと)理事:野呂元良

丹羽京子先生は、講演(要旨)の中で、「ベンガル文学を概観することは、ベン
ガル文化そのものを理解することにつながります」と述べておられる。ベンガル
文学・文化への理解は、バングラデシュ人・ベンガル人(インド)の内在的行動
思考を知る上で、非常に有益であると思う。これは、政治・外交・ビジネス等に
従事する人たちにとってもそうであろう。相手の心を深く理解せずして交渉して
も、満足な結果は得られない。

一般大衆・国民と言う大海原があって、初めて「政治丸」「外交丸」「経済丸(
ビジネス丸)」の安定的・持続可能な航海が可能となる。海がないのに船を造っ
ても無益である。当たり前の事であるが、案外、これを忘れている指導者がいる
ことも事実である。

歴史と伝統と人間心理の観点から止むを得ない面もあるが、日本外交の長年にわ
たる宿命的問題点の一つは、予算・人材配置の面で、政治・経済・経済協力関係
に比重をかけるあまり、教育・文化関係への予算と人材配分が不十分となった事
である。政治・経済と教育・文化は車の両輪である。政治・経済(経済協力)は、
非常に重要であるが、文化・教育も同じ程度に重要である。政治・経済と教育・
文化の二つの車輪のサイズが少しでも異なれば、車はうまく前進出来ない。ここ
に民間団体による、対外的文化・教育交流推進の意義がある。政治・経済関係に
は浮き沈みが常であるが、誠実な教育・文化交流は、地味であるが対等の人間と
しての相互理解・友好関係の発展と深化をもたらすことが可能である。民間の教
育・文化交流の弱い国家間の政治・経済関係は「源の浅い交流」であり、持続性
と発展性に本質的な問題がある。しかしまた、国家間の政治・経済関係が弱いと、
民間の教育・文化交流も停滞しがちになることも事実である。政府間を中心とし
た政治経済交流と日本バングラデシュ協会や国際NGO等民間を主体とする教育・
文化交流が互いに連携・協力・補完しつつ前進するのが理想である。

歴史的・文明的観点から、また地理的観点から、更に経済的な合理性と経済統合
の有益性の観点から、将来、バングラデシュは、ASEAN(東南アジア諸国連合)と
SAARC(南アジア地域協力連合)の連結・連携の重要な「要」(かなめ)の一つと
なることは極めて自然な歴史的流れであり、バングラデシュの重要性はいくら強
調しても強調し過ぎることはない。このアセアンとSAARC連結・連携という21世
紀前半の大偉業完遂のリーダーシップは是非日本がとって欲しいものである。超
大国であるインドと中国はどちらが主導権を握っても問題が多く、更に両国とも
老舗の超大国米国の意向も無視できないので、印中両国とも、それぞれリーダー
シップをとりにくいであろうし、最悪の場合、この連結・連携をめぐり、インド
・中国・米国の三すくみの状況に陥る可能性も排除しきれない。日本としては、
「大和心」(やまとごころ)を大いに発揮して、インド・中国・米国の三超大国
それぞれの利益のバランスとる「スマートな調整役」として、「静かに、謙虚に、
誠実で、したたかな、決定(けつじょう)した楽観主義の外交」をダイナミック
に展開することを期待したい。その意味から、日本外交を側面から支える民間外
交の主体者の一つとして、日本バングラデシュ協会の責任と使命は、現代東洋
史観の上から、大きなものがある。

今後、本協会としては、日本バングラデシュ両国間の経済・政治・外交関係の側
面支援に加え、バングラ文化・文学の日本社会での普及は勿論のこと、バングラ
文化・文学の国際的交流・発展のために、可能な限りの努力を行うことは、アジ
アと世界の平和と安定にとり、非常に価値あることと思われる。
(本随筆は著者の個人的意見であり、日本政府・協会等を含むいかなる団体の
公式見解ではありません)(以上)

■4)第三回 行事のお知らせ 【講演会開催】
 「創設50周年を迎える青年海外協力隊事業と初期バングラデシュ員の活躍」

 講演者: 金子洋三JOCA会長
 JOCA 青年海外協力協会(Japan Overseas Cooperative Association)

 日時: 2014年11月19日(木)18:30-20:00(開場 18:15)
 場所: 在京バングラデシュ大使館
      住所: 〒153-0063 東京都目黒区目黒4-15-15
      アクセス: JR目黒駅より東急バス・三軒茶屋駅行きのバスに乗り、

            大塚山下車すぐ。
(バスの進行方向に向かって、一本目の路地を左に入る)
参加費: 会員(法人・一般・学生/会場での新規入会申込者)は無料
     非会員は、一般1000円、学生500円、
     青年海外協力隊、隊員OV 500円
参加申込み宛先:  info@japan-bangladesh.org 宛にメールで申し込み願います。
 記載事項
 1)お名前
 2)会員区分: 法人会員・一般会員・学生会員・新規入会希望
 3)非会員: 一般・学生
 4)E-mailアドレス:
 5)ご連絡先(電話/携帯電話)
 6)関心事項(記載は任意です)

■5)事務連絡
  今般、本協会のゆうちょ銀行の口座が開設されました。
  会費を未だお払いいただいていない会員の皆様には以下の口座に振込を
  お願いします。
  経費削減のため、振込のご案内をメールにてさせていただきます。

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 口座名称 一般社団法人 日本バングラデシュ協会
      シヤ) ニホンバングラデシュキョウカイ
 口座記号番号  00160-2-513606

 銀行からゆうちょ銀行への振込
 店名(店番) 019 当座預金
 口座番号 0513606

 会費について:一般法人(営利)会員 5万円、非営利法人 3万円
        個人会員 5千円、学生会員  3千円

 振込の確認後、領収書を発送させていただきます。

また、会員のご紹介での入会案内には、こちらの入会フォームをご利用下さい。

 ●日本バングラデシュ協会 法人申込フォーム
  http://www.japan-bangladesh.org/?page_id=79
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  http://www.japan-bangladesh.org/?page_id=89

◆その他
協会の活動などについてご意見等ありましたら、お知らせください。
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お寄せ下さい。
 宛先:info@japan-bangladesh.org
(約1000~1200字。体裁上若干の修正あり得ることご了承下さい。)

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