日本バングラデシュ協会 メール・マガジン(45号)2018年4月22日

日本バングラデシュ協会の皆様へ

■目次
1)『 日本バングラデシュ協会メルマガ45号会長メッセージ
―国連によるバングラデシュの「最貧国」卒業の認定と今後の方策― 』
会長:堀口松城
2)『バングラデシュの国境を尋ねて』                    理事:村山真弓
3)現地だより『バングラデシュB2C』
ロート製薬 ロートバングラデシュ社 取締役社長 新井謙
4)『ジナイダ県:地下水灌漑に過度に依存しない持続可能な
農業実践現場レポート』        (特活)アジア砒素ネットワーク 石山民子
5)『平成30年社員総会の開催について』
6)『事務連絡』

■1)『 日本バングラデシュ協会メルマガ45号会長メッセージ
―国連によるバングラデシュの「最貧国」卒業の認定と今後の方策― 』
会長: 堀口松城

1. この3月、国連は、バングラデシュが最貧国を卒業したことを正式に認定とのニ
ュースを受けて、3月30日、バングラデシュ大使館で「バングラデシュの経済発展:
可能性、挑戦、前進に向けて」と題するセミナーが開催され、ファティマ大使他3名
が講演されました。
本セミナーについての報告の前に、国連による最貧国卒業認定の3つの基準がいか
なる指標からなっているかご説明します。第1の基準は、一人当たり国民所得です。
第2の基準は、5才以下の児童死亡率、栄養不良人口比率、中等学校入学率、成人識字
率から成る人的資源(asset)指標です。そして第3の基準は、人口、(社会サービス
等からの)遠隔度、商品輸出集中度、農業、林業、漁業の対GDP比率、低沿岸地帯居
住人口比率、財・サービス輸出不安定度、自然災害被災者、農業生産不安定度から成
る経済的脆弱性指標です。

2. 本セミナーでは、最初にバングラデシュの最近の目覚ましい発展ぶりを紹介す
るビデオ上映の後、ファティマ大使より基調講演として以下のお話がありました。バ
ングラデシュの最貧国卒業後の諸問題、それらの解決の方向などを知る上で、大変示
唆に富んだ内容です。
(1)3月26日我々は独立記念日を祝ったが、今年は国連により、バングラデシュが最
貧国から途上国(developing country)に卒業したことの公式認定を受けた点で特別
の意義がある。この画期的進展を日本で祝うことは、この功績に果たした日本の顕著
な役割故に特別な意義があり、私は日本政府、JICA、JETROとここにご列席の皆様に
その多
年に亘る貢献に感謝するとともに、引き続き日本が主要な役割を果たし続けてくれる
だろうことを確信している。独立戦争の廃墟の中で、建国の父ムジブル・ラーマン首
相が黄金のバングラの建設を決意した際、同首相は日本こそ、その模範的モデルであ
ると認識していた。
(2)バングラデシュは多くの制約にも拘わらず、近年目覚ましい成長を遂げ、今日
その経済規模は世界32番目の大きさであり(ママ)、本年の経済成長率は7.48%と予
想されている。日本のバングラデシュへの直接外国投資は450百万ドルに達し、日本
はバングラデシュにとって9番目の輸出市場となっている。バングラデシュのITC セ
クターの今年の輸出額は10億ドルに達している。
(3)プライス・ウオーターハウス・クーパー社の見通しでは、バングラデシュ経済
の長期的成長見通しや現在の成長のペースが続けば、2050年までに世界第23位の規模
になるとされているが、バングラデシュが最貧国から中進国に移行する過程で、移行
に伴う困難な問題も予想される。例えば、伝統的な譲許的ODAの減少や輸出品目への
適用関税の引き上げがあるが、一方で移行期の緩和措置の供与も期待される。この移
行は、経済が強くなり、抵抗力を増したことを意味し、この点は、投資家の対バング
ラデシュ投資により大きな自信を与える。
(4)今回の卒業は目標ではなく、重要なことはこの変革とその後のモメンタムの維
持と、すべてのセクターにおける生産能力の強化である。
(5) 政府が重視している目標は以下の通りである。
①経済多角化による経済構造・生産力の構造改革 ②ODA依存の低減と国内資金の動
員 ③FDI及びPPPによる投資重視による民間セクターの能力構築 ④革新的金融によ
る公的資金の多角化 ⑤輸出の多角化 ⑥国際社会からの目的達成支援の拡大。とく
に日本への期待。
3.私は14,5年前ダッカに勤務していた際、バングラデシュには、勤勉で進取の気
性に富んだ国民と、企業家精神と国際的センスに富んだ企業家、そして高い能力を持
つエリート層がおり、しかも人種的対立や、宗教的紛争もないので、政党間の諍いを
克服し、経済発展に力を集中できれば、短期間に最貧国を卒業し、中進国入りするこ
とは疑いないことを、しばしば講演会で語り、大使館のメルマガで発信していただけ
に、今回のニュースには特別の感慨を覚えます。バングラデシュの人々が、このまま
手を緩めることなく、さらなる目標に向かって邁進することを祈っています。

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