日本バングラデシュ協会 メール・マガジン(55号)2019年2月18日

日本バングラデシュ協会の皆様へ

■目次
1)『日バ協会メルマガ55号会長メッセージ
―ダッカ事件後の政府のテロ対策の目覚ましい進展―』    会長 堀口松城
2) 現地便り: 『人との縁』
双日株式会社 バングラデシュ事務所 所長 山本 英治
3)『地方から見たバングラデシュの思い出』( 連載その1 )   監事 伊藤隆史
4)『 早川崇は何故、バングラデシュに心血を注いだのか?』( 連載その2)
→早川崇は何故、バングラデシュの早期承認を熱心に働きかけたのか?
監事 早川 鎭
理事 太田清和
5)イベント、講演会の案内
6)『事務連絡』

■1)『日バ協会メルマガ55号会長メッセージ
―ダッカ事件後の政府のテロ対策の目覚ましい進展―』    会長 堀口松城

1.あのダッカ・テロ事件から2年半が経ちましたが、この2年半の間に、同事件で失わ
れた、7名のJICA専門家を始め多数の犠牲者の命を無駄にしてはならないとの日本政府
関 係者の決意のもとに、進められてきた国テロ対策は、ここ数年で次のような目覚ま
しい進展を遂げています。
先ず、外務省はシリアにおける邦人殺害テロ事件を踏まえ、2015年5月に「『在外
邦人の安全対策強化に係わる検討チーム』の提言」を作成し、特に邦人がテロの被害に
遭わないよう、①国民一人一人の安全対策意識と対応能力の向上、②国民への適時、適
切かつ効果的な情報伝達、そして③これらを着実に実施するため体制整備、の3点に重
点を置いて検討を続けてきました。
2.この検討内容は、ダッカ・テロ事件以降目覚ましい進展を遂げており、最近の具
体的な検討結果について、領事局邦人テロ対策室長(兼 経済局日本企業海外安全対策
特別専門官)の上田さんは、本年1月号の雑誌「時評」で次のように明快に説明されて
いるので紹介させて頂きます。なお、同対策室の仕事は第1に、テロ、誘拐、人質、ハ
イジャックなど特殊事案への対応であり、第2が広く海外安全に関する予防と啓発・情
報発信とされています。(なお、同室の英訳は、Terrorism Preparedness and
Response Division です。)
近年の短期渡航者は年1800万人を超え、海外に3カ月以上在留する邦人は135万人を超
えているが、多くはテロ、犯罪から身を守る準備を行わずに海外渡航している実態にあ
る。それ故、一人一人がリスクを知り、『正しく恐れる』ことが出来るよう、渡航先の
リスクに関する適時、適切な情報発信を行うことが外務省の重要な仕事となる。しかし
、通常のマニュアルによる啓発だけでは不十分なので、いろいろ工夫を重ねながら、取
り組んでいる。
工夫の第一は、2017年、『ゴルゴ13』(原作さいとう・たかお)とコラボして製作した
海 外安全対策マニュアル『ゴルゴ13X外務省』を、外務省海外安全ホームページ上でも
読めるようにし、また、これ迄12万部を無料配布し、さらに2018年4月には動画版も作
成して公開した。これは、多くの企業に社員研修等でも利用されている。
第二は、安全な旅のための便利ツール『たびレジ』で、海外に渡航する前に誰にも3
分位でオンライン登録して貰えれば、外務省から渡航先ごとの最新の各種安全情報をメ
ール受信できるサービスであり、自然災害などが発生した場合には、近くの大使館や総
領事館から安否確認をして貰えるサービス付きである。
さらに、このサービスを広く知って貰うべく2018年7月外務省と吉本興業が一緒にな
って「たびレジ」登録キャンペーンを推進した。
第三に、ISILは最近は弱体化したものの、欧米、アジア等でローン・ウルフ型のテ
ロ、即ち、単独で群衆の中に車で突入するなどのテロや、劇場やスポーツ施設などのソ
フト・ターゲットを対象としたテロも発生しており、引き続き警戒が必要である。これ
ら不特定多数を対象とするテロに対しても、『正しく恐れる』という観点からすれば、
誰でも予防的な措置をとることは可能である。タイミングに関して言えば、ダッカ事件
で言われていたように、ラマダン(断食月)の時期、特に金曜日の礼拝日の夜などはイ
スラム過激派がテロを起こすリスクは高まると言われており、また、場所についても宗
教関連施設や軍・警察施設はできるだけ避けるのが賢明である。これらの情報も「海外
安全ホームぺージ」や「たびレジ」で情報発信されている。
第四に、海外でのトラブルを避けるためには、当該国の文化や習慣、宗教面での基礎
知識も事前に知っておくだけでも一定の効果があり、自然災害や感染症のリスクなども
「海外安全ホームぺージ」や「たびレジ」で情報発信している。
また、海外で被害に会う人の95%は一般犯罪なので、国ごとにその一般犯罪はどのよ
うな傾向があるか知っておくことも大切であり、これらも同情報に含まれている。
第五に、ツアー旅行を利用する人たちのために、「たびレジ」がツアー・コンダクタ
ーをハブにしてツアー参加者に情報を伝えるようにしており、旅行会社各社とは「外務
省・トラベルエージェンシー連絡会」という会を定期的に開き、安全対策等につき情報
交換を行っている。
3.以上ご紹介した、ダッカ・テロ事件における犠牲者の貴重な命を活かすための同
事件以降のテロ対策の進展は大変心強く、関係者のご努力を高く評価するものですが、
バングラデシュ関係者としましては、目覚ましい発展を遂げつつある同国との人の往来
を含むさらなる関係発展 のためにも、昨年暮れの総選挙後の現地情勢をも踏まえた渡
航者情報危険度の、一日も早い見直しを期待する次第です。


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