日本バングラデシュ協会 メール・マガジン 77 号(2020 年 11 月号)巻頭言: 『バングラデシュの睡蓮と日本の菊花』 監事 伊藤隆史

日本バングラデシュ協会    メール・マガジン77号(2020年11月号)

日本バングラデシュ協会の皆様へ

■目次
1)巻頭言: 『バングラデシュの睡蓮と日本の菊花』

 監事 伊藤隆史

2)特別インタビュー『シャハブッディン・アーメド新駐日大使に訊く』

編集部

3)寄稿『モハンマド・キブリアさんのこと』

美術家 柳澤紀子

4)会員寄稿:『ボンゴボンドゥ・シェーク・ムジブル・ロホマンの死とその背景』

-ムジブル・ラーマン生誕 100 周年シリーズ No. 11-

元理事 渡辺一弘

5)理事連載『バングラデシュの独立に寄り添う(1970 年 11 月):ヤヒア訪中とサイクロン/高潮』

-バングラデシュ独立・国交 50 周年記念シリーズ No. 5-

理事 太田清和

6)『事務連絡』

■1)巻頭言:  『バングラデシュの睡蓮と日本の菊花』

監事 伊藤隆史

1.バングラデシュの国の花は、睡蓮

(ウィキペディアより: https://en.wikipedia.org/wiki/Nymphaea_pubescens)

 

バングラデシュの国の花は、憲法で「睡蓮」と規定されています。ベンガル語でシャプラと言うことは皆様ご承知のとおりです。普通、睡蓮には、白、黄色、桃色、朱色などがありますが、バングラデシュの現地の方に聞くとバングラデシュの国の花は「Shada Shapla」、つまり「白い睡蓮」だそうです。国章に刻まれ、コインのデザインにも使われており、彫刻物は国会議事堂を始め、ダッカの各所で見ることが出来ます。

バングラデシュでは、睡蓮は、通年見ることができると言われていますが、雨期には極めて広範にみることが出来ます。見るだけでなく健康に良いとして食用としたりもしますし、生活には欠かせないものになっています。子供たちは池を泳ぎ回り、睡蓮と戯れ楽しんでいます。そのポピュラーな事、美しさ、決意、団結、純粋、平和、愛の意味もあり、バングラデシュの独立後にすぐに睡蓮が国花となりました。

2.睡蓮と水蓮と蓮

バングラデシュの文化では、睡蓮に関する特段の逸話、神話の類があるわけではないようです。水面に浮かぶように咲く睡蓮の花は、花と水面の景観に映えて昼に短時間咲き夕方になると眠るように花を閉じることにより和名では水蓮ではなく、睡蓮となったそうです。蓮の花に酷似しており、よく混同されますが、種類の違う水生植物だそうです。仏教発祥の地である隣のインドでは、蓮が国花で、極楽浄土の花であり仏像の台座は、蓮の葉が使われています。その点では、日本人には蓮も睡蓮も、なんとなく身近なものに感じます。

 

3.日本の菊花

馥郁(ふくいく)と微かに香る菊花の季節になりました。11月は、菊の季節です。菊の原産地は中国とされていますが、平安時代に日本に伝わってから日本独自の進化をしたようです。時代の流れとともに菊は、公家から武家、庶民へと伝わっていきました。また、品種改良が進み「江戸菊」、「美濃菊」、「伊勢菊」など各地の名前の付いた菊が栽培されるようになりました。

時代が明治になると花径が15cm以上の大菊が流行し、神社、お寺などの各所で菊花展が催され、その花姿を競う菊花展(競技会)が開催されるようになります。

 

  1. 私と菊花とのかかわり

    (令和元年11月:弥彦神社の菊花展:撮影・伊藤)

(令和元年11月:弥彦神社の菊花展:撮影・伊藤)

10年ほど前に友人より勧められて、私も菊を育て始めました。5年前より千葉市の菊花展へ毎回出展をするようになりました。昨年、初めて「花丈45cmの部(花頂まで)」にて優等主席をとり感激したのが昨日のように思えます。3月、4月に苗の生育を始め、9月上旬に蕾が付き、1ケ月で開花します。満開は11月の上旬です。冬季の3ケ月を除き、約9ケ月間を掛けて育み出展しますので成果が出た時は、うれしいものです。自宅にて道路側(住宅街の狭い道路)にビニールハウスを作り、時間のある時には必ず作業をしています。まさに「愛でる」という感じで育んでいます。

日本人はシャイで、知らない人には、余り話しかけないと思っていましたが、道路を通行される方から結構話しかけられます。「どのように育てるのですか。」、「自分でも育てられるのでしょうかね。」、「実家では父親が菊造りをやっていました。」、「毎年、この細道を通る時にいつも楽しませてもらっています。」等々。最近では作品を友人に差し上げて喜ばれています。巻頭言を書いている今は、今年の菊花展での成果を期待している毎日です。(「文化の日」が審査日です。)

 

  1. バングラデシュの睡蓮と日本の菊花

水中の底(いわば泥)から茎を延ばし仄かに香るバングラデシュの「白い睡蓮」は非常にタフな感じがします。試練に立ち向かい、不屈の精神力で独立を勝ち得たバングラデシュに非常に適した国の花と言えるでしょう。一方、菊花にはタフさはありませんが伝統を感じます。繊細な香りで多くの人にその美しさを楽しんでもらえます。

今年の菊花展には「白い大菊(厚物・花径: 20 cm)」で臨みます。

 

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