ようこそ、日バ協会の『企業情報交換会』へ!

2019年 秋

                 企業部会担当理事 平石公宣

 

* はじめに

日バ協会の『企業情報交換会』は、現地での企業活動の課題や経験などの情報を共有することを目指し、2016年6月から法人会員有志の集まりとして運営してきましたので、ご存じでない会員も多いかと思います。

2019年4月の理事会で、これまでの活動を更に発展させるため、日バ協会内に『企業部会』を設置し、『企業情報交換会』を日バ協会の公式事業であると承認し、協会事業の一つであると位置づけて頂き、協会の第6回総会で、『企業情報交換会』を日バ協会の公式事業である旨会員各位に説明を頂きました。

そこで日バ協会の公式事業と認定頂いた機会を捉え、『日バ協会・企業情報交換会』の背景、立上げ、活動振りを、ここにご紹介致します。

『企業情報交換会』は、その趣旨に鑑み、日バ協会の法人会員限りの集まりですが、協会の事業ですので個人会員の方々にも、ご承知置き頂ければと思いますし、また個人会員の方々でバングラデシュ・ビジネスに携わる企業にご勤務の方も少なくないのではないかと思いますので、ご勤務先が、法人会員として入会頂けることとなれば、とても嬉しく思います。

そして何よりも、バングラデシュとのビジネスに取組まれている企業の皆様方に、幅広く、この日バ協会ホームページを通じて、「ようこそ、日バ協会の『企業情報交換会』へ!」と、ご参加を呼びかけ、歓迎の言葉でお迎えしたい次第です。

 

1.『企業情報交換会』の背景

(1)2016年、堀口会長(当時)より「日バ協会は、将来を見据え、会員、とりわけ企業会員の関心を増やし、日バ両国の経済交流も支援していきたい。企業会員として何か出来ないものか?」と、相談を受けました。そこで私達、企業会員関係者で集まり、「日バ協会にどんな魅力があれば、邦人企業に満足してもらえるか」を議論しました。

議論の結果、バングラデシュへ進出しようとしている企業、あるいは進出したばかりの企業は、多くの問題に直面している。しかしこれら企業にとっては、目の前の問題に取組もうにも、本邦で、①現地の企業運営のノウハウを蓄積しているところがない、②現地の企業運営につき、本音ベースで相談出来る相手が少ない、という実態が浮かび上がりました。

(2)現地には、大使館、JETRO、日本人会/商工会と、それなりの情報を持っているところがあります。近年、大使館、JETRO、JICAは中小企業の進出を大いに支援しています。とりわけJETROは、ダッカに『中小企業海外展開支援プラットフォーム』を開設し、進出企業との間で、ビジネス・ノウハウの共有を進めており、また相談に応じても呉れます。

とはいえ個別企業の経営に関する、生(ナマ)の実践的ノウハウまで蓄積しているところは少なく、また公的な機関としては、ビジネス・ノウハウの内実にまで立入り、またこれを第三社に説明できる立場にはないのでしょう。

これに対し、中国やASEAN諸国では、長年にわたり邦人企業が進出してきたため、現地では邦銀が邦人企業の情報拠点となっており、実務のノウハウもかなり蓄積しています。また現地に優秀な経営コンサルタントが開業しており、日本とのビジネスに通じ、橋渡しをしています。まことに便利で、羨ましい限りです。

バングラデシュに進出した企業はまだ少なく、東京レベルで現地のビジネス・ノウハウを共有できる場がないため、これから進出しようとする企業にとって、バングラデシュ・ビジネスの手がかりすら得難いのが実情といえました。

(3)私自身、バングラデシュ進出企業の経営者として、身に沁みる体験を重ねてきました。現地進出にあたり、生のノウハウを教示頂ける方も少なく、また進出後は進出後で、次々と新たな問題が生起し、当惑するばかりでした。経営者として、多くの悩みを抱え、孤独な思いをかこちつつ、目の前の仕事に精一杯打ち込むしかありませんでした。先行の邦人企業より、ご経験や解決策をご教示得られればと、すがるような思いでした。

ここにこそニーズがある。日バ協会が、会員企業に提供出来る魅力的なサービスがある。私自身の経験から、そして同僚経営者との議論を通じて、確信するに至った次第です。

(4)そこで日バ協会の場を借りて、①現地に進出している企業会員が定期的に集まり、②各々の企業の状況と課題を説明し、それぞれが抱える喜びや悩みを語り合い、③お互いの成功例や失敗例、過去の経験や解決策、助けとなる人脈の紹介などを行ってはどうか、ということで意見が一致しました。

 

    

第1回企業情報交換会(JETROとの共催セミナー)        日バ協会・JETRO共催セミナー

 

2.『企業情報交換会』の立上げ

(1)2016年に、私は日バ協会の『企業プログラム担当理事』を拝命しました。私は、直ちに『企業情報交換会』の趣旨を、バングラデシュに進出している知り合いの企業に説明し、企業会員を募っていきました。

(2)2016年6月22日、バングラデシュ大使館で、日バ協会・JETRO共催で『バングラデシュ投資セミナー』を開きました。セミナー終了時に、日バ協会が『企業情報交換会』を設立することとし、この投資セミナーを、『企業情報交換会』の第1回会合とすることとしました。日バ協会から参加の企業会員は12社。JETROの温かい協力により、一般に広く声をかけて頂きましたので、セミナー全体では120名の参加を得ることが出来ました。

講師は、オプシードの神山社長、グラミンユーグレナの佐竹代表、小島衣料の小島オーナー、JETROの鈴木主幹、そして丸久社長の平石と、すべて日バ協会の会員が務めました。日バ協会には、バングラデシュでのビジネス経験の豊かな企業会員が揃っているのです。各々が、会社の成功・失敗の体験をお話ししました。参加者からは、『生(なま)』のビジネスの話が聞けて有益であると、大きな反響がありました。

(3)ところが、その僅か8日後、2016年7月1日に、あの忌まわしいダッカ襲撃テロ事件が起こりました。7月28日、緊急に招集したのが、バングラデシュ大使館での第2回『企業情報交換会』となりました。参加者達は、衝撃も醒めやらず、悲しみに暮れながら、

①外務省領事局の邦人テロ対策室から、現地の治安状況や安全対策の強化策などの説明

②JETROから、現地進出の邦人企業の同襲撃テロ事件を受けてのアンケートの結果の報告

③ファティマ大使からは、バングラデシュ政府の対応振りの説明

④出席の企業会員全社から、各社の安全対策、その実行振りの説明、が行われました。

参加者達は、真剣な面持ちで、日バ政府当局と各企業会員の説明に聞き入り、質疑応答を繰り返しました。当局の説明、他社の対応振り、具体的措置は、極めて貴重な情報でした。会員各社皆、熱心にメモを取って持ち帰り、社内にフィードバックされたと伺っています。悲しみを超え、前に歩みを進めようとする、企業会員各社のお役に立てたと思っています。

 

ナラヤゴンジ工場の縫製風景          ダッカ事件遺体の帰国

 

3.『企業情報交換会』の活動

『企業情報交換会』の開催日程、講師・出席者、出席資格は、次の通りです。

(1)開催日程

『企業情報交換会』は、4半期に1回。原則として、3月、6月、9月、12月の第3水曜日に定例開催しています。『企業情報交換会』では、毎回、ビジネス環境、治安状況、会員各社の動向を、具体的に取上げて議論を行っています。定例会だけではビジネス情報を共有しきれないため、定例会終了後に、インフォーマルな懇親会に流れ込むこととなりました。

(2)講師・出席者

講師は、企業会員が毎回持ち回りで、各々の企業のバングラデシュでのビジネス事業につき講演することとしています。企業会員間のビジネス情報の共有が本来目的です。

企業会員に加え、毎回、

  • 外務省の邦人テロ対策室よりバングラデシュの治安情報などのご報告、
  • JETROから、バングラデシュ政治経済情勢報告などを、ご説明頂いています。

また経産省南西アジア室、JICA南アジア部、バングラデシュ政府のコンサルタントなどにも、時宜に応じて講師をお願いしています。偶々、ダッカの日本大使館の商務担当官が一時帰国していて、飛び入り参加されたこともありました。

(3)出席資格

『企業情報交換会』では、企業会員の企業秘密に係わる機微な情報も取扱われることもありますので、出席資格は、法人会員、理事のみに限っています。会議記録は作成せず、第三社への提供は行わないルールとなっています。

(4)『ビジネス・セミナー』から『企業情報交換会』へ

毎年4回のうち1回は、JETROとの共催で『ビジネス・セミナー』として、法人会員の枠を取り払い、一般にもオープンの形で開催しています。定員が100人~250名位であるところ、JETROの力強い後押しもあり、毎回、参加希望者が定員を大きく上回っています。多くの方々にお断りせざるをえず、誠に申し訳なく思っています。

毎回、私より、この『ビジネス・セミナー』をさらに濃密なものとした、日バ協会の『企業情報交換会』が開催されていることを紹介し、参加を呼びかけています。

私達日バ協会企業会員が講演者として登壇することで、『ビジネス・セミナー』参加企業の方々に、日バ協会『企業情報交換会』がどのようなものであるか、その実際に触れて頂くことが大切であると考えています。セミナーは熱気に溢れています。

『ビジネス・セミナー』の参加企業の方々が、「それでは日バ協会の『企業情報交換会』にも足を運んでみようか。すなわち日バ協会に企業会員として入会してみようか」と思って頂ければと、私達も一生懸命に仕掛けている訳です。こうして、日バ協会の企業会員が増え、邦人企業皆様方の間で、輪(和)が広がっていけばと願っています。

 

  • おわりに

(1)お陰様で企業会員も40社を超えました。当初は、日バ協会の理事・会員が声を掛け、紹介する形での入会がほとんどでした。最近は、『ビジネス・セミナー』に参加し、あるいは日バ協会ホームページで知り、日バ協会に入会される企業が増えてきています。誠に嬉しく思います。

(2)私達企業会員は、この3年間にわたり、①日バ協会の集まりに足を運べば、求めている経営情報が得られる、②いつも面白いビジネスの話が聞けるので、おのずと足が向いてしまう、こうした会合としたいとの一念から、『企業情報交換会』を育ててきました。

(3)日バ協会企業部会として、今後も企業プログラムの内容を吟味し、より豊かなものとし、会員の皆さんのお役に立つように努力して参ります。そして日バ協会をビジネス分野から支え、日バ協会が、日バ関係を増進する一助となっていく所存です。

是非とも、日バ協会『企業情報交換会』へ!

皆様のお越しをお待ちしています。